四百年の誓い
 「どうして……」


 美月姫は膝ががくがくした。


 思わず逃げ出したくなるような衝撃。


 「ずっと……連絡もしないでごめんね」


 あの頃と同じ、深みのある黒曜石のような双眸。


 その瞳に見入られると、美月姫は自制心を失ってしまう。


 どうしてなのか分からない。


 遠い昔から定められた運命のように。


 でも……。


 「ずい分お久しぶりの帰省じゃない? どういう風の吹き回し?」


 美月姫は精一杯強がってみた。


 そして背を向けた。


 あの日……謝恩会の夜。


 優雅は美月姫との約束をすっぽかして、一人東京へと旅立って行った。


 その時のことを思い出すと、未だに悲しくてつらい。


 見捨てられ、置き去りにされたことに対する悔しさもある。


 信じていたのに!
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