四百年の誓い
 「お父さん。美月姫が男の子の友達を家に呼ぶのにもうるさかったお父さんが、なぜこんな急に」


 背後から母親の声が聞こえた。


 助け舟を出してくれたようだ。


 「上層部からの申し出なんだ!」


 どうやら先日の夏祭りの際、上層部の関係者が美月姫を見初め、この話を父親の上司に持ってきたらしい。


 「困るよそんなこといきなり言われても。私まだ19だし大学だってあるんだから」


 「それは父さんだって分かってる。だから無理を承知で頼んでるんだ」


 「この前、夏祭りのお手伝いで帰省したばかりなのに。まただなんて疲れる。大学の試験もあるし」


 「交通費は全て先方が負担してくださるそうだ」


 「そういう問題じゃなくて」


 「それに、今すぐってわけじゃない。大学が夏休みに入った頃合いを見計らって。先方もかなり忙しい方らしいので」


 この時は話はここで終わったのだが。


 結局お見合いの話を断るまでは至らなかった。
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