四百年の誓い
 それから学園内、満開の桜の木々の下に置かれたベンチに二人並んで座り。


 しばし話をすることにした。


 憔悴した表情の優雅を放ってはおけなくて。


 ……優雅は母の経営するキャバレー、「夕映霞」の話から始めた。


 そもそもの発端は、優雅の実父である与党幹事長・丸山乱雪(まるやま らんせつ)と盟友関係にある議員が、不正献金で告発されたことだった。


 容疑は明白で有罪濃厚。


 丸山乱雪は無関係を主張したが、盟友の失脚により、当面は強引な活動は自粛しなければならない状況に追い込まれていた。


 その影響もあったのかもしれないが、折からの不況で夕映霞への客足もピーク時よりはかなり下回るようになっていた。


 以前だったら丸山の力で、下降気味の売り上げを上向きカーブに修正可能だったかもしれないが……、今は余計な行動は慎まなければならない時期だった。


 政治生命を保つためにも。


 そのため紫は我慢を強いられた。  
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