四百年の誓い
 紫は将来への不安を募らせた。


 優雅がいた頃は、優雅への期待で精神のバランスを保っていたのだが。


 もう優雅はそばにいない。


 紫は情緒不安定に陥り、ついには夜の暗闇に怯えるあまりなかなか眠られなくなり、睡眠薬に依存するようになった。


 酒に煙草、そして睡眠薬の併用は、加速度的に身体を害していく。


 ますます睡眠薬の量は増え……ついにオーバードーズで倒れてしまった。


 自殺未遂説も根強い。


 母親の現状をようやく丸山幹事長の地元の窓口である水上(みずかみ)から聞かされた優雅は、ついに帰省を決意したのだった。


 過去は全て捨てたつもりで、もう二度と故郷には帰らないと、旅立ちの夜に誓ったはずなのに……。
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