四百年の誓い

　……丸山乱雪は終戦後程なくして、函館近郊の貧しい浜辺の町に生を受けた。


　漁業と酪農業が産業の中心の、人口数千人の町。


　当時はさほど珍しくはない、十人兄弟の三男。


　その頃不況が続いて家計は厳しく、丸山も中学校を卒業した後、出稼ぎで関東方面に送られそうになったという。


　だが丸山の優秀さを惜しく感じた中学校の校長が、あれこれ工面して東京の知り合いに丸山を預け、無事に夜間高校に通わせることができた。


　昼間は働きながら、夜間高校を卒業。


　大学も夜間部だった。


　幸いにして勉学優秀だったため、奨学金を受けられた。


　早朝は新聞配達をして、昼間はアルバイト、そして夕方から大学で授業。


　疲労蓄積でくじけそうになったけど、大学卒業の資格を得ることで未来は開けると信じ、頑張った。


　大学卒業後、新聞配達をしていた新聞社に運良く入社。


　記者として活躍するうちに、ひょんなことから当時の総理大臣に目をかけられた。


　それをきっかけに、総理の取り巻きの一員に昇格。


　やがて新聞社を退社し、気がつけば総理のバックアップを受けて政治家の道を歩んでいた。


　総理の縁の令嬢と結婚。


　その後は持ち前のリーダーシップを発揮して、党の要職を歴任。


　やがて内閣の重要なポストに就任。


　いつしか権力の頂点にまで到達していた。