四百年の誓い
 「……幼少期の貧しい日々の中、私は権力を切望するようになった」


 丸山は遠い目をして、窓から拡がる夜景を眺めながら語る。


 「力がない者は、一方的に搾取され、奪われる。そんな不条理な目に遭わされるのは、もう懲り懲りだと思った」


 「だから、逆の立場になりたいと?」


 久しぶりに美月姫が口を挟んだ。


 「そうだ。あんな目に遭うのはもうたくさんだったから、強くなりたいと祈った。権力の頂点に立ちたいと願った」


 「……」


 「昔は荒唐無稽な夢だった。だがそれが徐々に現実味を帯びてきて・・・。気がつけば私は、ここまでたどり着いていた」


 与党幹事長。


 総理大臣をしのぐとまで言われる権力。


 「民主主義というのはね、国民に優しいように見えて、それでいて不自由なシステムなのだよ」


 「……と申しますと?」


 「どんなに万民のためを思って練り上げたプランでも、抵抗勢力は何から何まで反対する。それによりすんなり可決されることは、少ない」


 「そうしないと、独裁者の出現に繋がるからではないのですか?」


 美月姫は答えた。
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