四百年の誓い
 「優雅くんは、」


 「人生には限りがある。私は王国を築き上げるまでが使命だ。優雅はその王国を受け継ぎ、真の支配者になることが運命付けられている」


 美月姫の言葉を遮って、丸山は語り始めた。


 「優雅は最初から、王国が与えられる。私が王国建設に要した数十年を、彼は王国の発展のために利用することができる。こんな恵まれた地位を、彼は拒否することはできない」


 「本人が望んでいなくても、ですか?」


 「今は若者に典型的な、反発心を周囲に見せているだけだ。優雅はいずれきっと解る。自分が生まれながらに有している宿命を」


 「宿命……」


 「私が築いた王国を受け継ぎ、さらに発展させ、新時代の指導者になる」


 「やはり独裁者への道ではないですか」


 「優雅は新たな指導者に相応しい素質を持っている。足を引っ張る奴らに、邪魔されるわけにはいかないのだ」


 丸山は堂々と言い切った。
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