四百年の誓い
 デザートを食べ終えて、丸山は再びワインを口にした。


 「無理矢理引き裂いて、優雅に反発されても困るので、徐々にフェイドアウト作戦を用いることにした」


 「フェイドアウト?」


 「大学卒業までの間、ゆっくりと距離を作っていってもらう。君と優雅は札幌と東京。そうたやすくは会える距離ではないのが幸いだ。メールや電話くらいなら、たまにはいいだろう」


 すでに優雅に強引に用事を与えて、なるべく会えないように幹事長が図っていることに美月姫は気付いている。


 「決して優雅との関係を、大っぴらにはしないように。むやみに周囲に優雅の名前を出してもいけない」


 丸山の要求は続けられる。


 「君はもはや、この京の婚約者だ。だがそれも完全に別れるまでは、優雅に伝えないほうがいい」


 「そんなこと可能なんでしょうか。私が喋らなくても、どこかから話が漏れて」


 「それは君は心配しなくとも大丈夫だ」


 「もちろん妊娠も出産も認めない。強行突破で子供を作ろうものなら……どうなるか分かっているね?」


 子供もろとも始末されてしまうのだろうか。


 美月姫は息を飲んだ。
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