四百年の誓い
***


 学校から車で15分ちょっとで、優雅の自宅マンションに到着した。


 認証を終え、車は地下駐車場に入る。


 駐車場から自宅のある階までは、エレベーターで移動。


 金持ちばかりが居住する高層階に、優雅の母は丸山乱雪により住まいをあてがわれていた。


 「来客は予期していなかったから、部屋の中散らかっているけれど」


 そう言いながら優雅はロックを解除し、ドアを開いた。


 散らかっているとは言いながらも、きちんと掃除されている部屋。


 とはいえ玄関には優雅の母・紫が、仕事場に日替わりで履いていく履物の箱が、無造作に積まれていたし。


 居間には宝石や髪飾りなど、装飾品が置きっぱなしになっていた。


 「上京するまで、こういうのの後始末は全部俺の役割だったんだ。俺がいなくなったら案の定、母さんはいつも出しっぱなし」


 優雅はぶつぶつ言いながら、居間に取り残された紫のアクセサリー類を、紫の部屋へと順次運び込んでいた。
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