四百年の誓い
 ……。


 「美月姫って、和装も似合うよね」


 今晩二人で泊まる部屋。


 寝間着代わりの浴衣を適当に身にまとっている美月姫を見つめながら、優雅は賞賛した。


 「夏になったら、花火大会行こうよ。浴衣着て来てね」


 「私、浴衣持ってないよ。着付けもできないし」


 「買ってあげようか」


 「いいよ、悪いし」


 「綺麗な美月姫を見るためなら、それくらい別に構わない出費だ」


 「……怪しげな芸能プロデューサーみたい」


 ストレートに想いを表現する優雅の言葉とまなざしに、美月姫は少々赤面してしまい、顔を背けた。


 「本当のことだよ」


 優雅は無邪気に笑いながら、美月姫を抱き寄せようと手を引く。


「やめて、くすぐったい」


 ベッドの上でじゃれ合っている最中、帯に手をかけた優雅が突然動きを止めた。


 美月姫をじっと見つめたままで。


 「……どうしたの?」


 美月姫は尋ねた。


 「どこかで会ったことがある」


 「え?」


 「浴衣姿の美月姫を見て、ふと感じた。似たような人にどこかで会ったことがあるって」
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