四百年の誓い
 「私に似た人?」


 「うん。どこで会ったんだか、思い出せないんだけど」


 「……」


 「別にいいや、そんな話」


 優雅は自分で切り出した話に自分で終止符を打ち、美月姫を優しく抱きしめた。


 「どうしてこんなに、懐かしい気持ちになるんだろう」


 それは美月姫も同じだった。


 優雅の胸の中は居心地がよく、遠い昔から求めていた場所に戻ったような感覚に襲われた。


 間もなく優雅はシャワーを浴びに行き、その間美月姫はテレビを見ていた。


 春とはいえまだ浴衣一枚では肌寒く、温まりたくてベッドの中に入り、シーツに包まった。


 ベッドに身を横たえると、これからの展開をどうしても想像してしまい恥ずかしいので、そっと目を閉じた。
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