四百年の誓い
 「私、追いかけて追いかけて。でも最後はその人は白装束で。私は柵に行く手を遮られて・・・」


 思い出すだけでも悲しい結末。


 「毎週日曜の夜、大河ドラマ見てるって話してたよね。きっとそれの影響だよ」


 何も気にするなと言いたげに、優雅は優しく微笑み、そっと美月姫を抱きしめた。


 「でももしも俺だったら、死を余儀なくされても後悔しないと思う。美月姫を守るためだったら」


 優雅はそう言い切った。


 それは嬉しくもあるのだけど。


 「そんなの嫌。私のために優雅くんを失って、たとえ生き延びたとしても、私はずっと自分を責めながら生きていかなければならないのだから……」


 想像しただけで、胸が締めつけられる。


 やりきれない思い。


 美月姫は思わず枕に顔を沈めた。


 「そんなつらいこと、考えるのはよそう」


 優雅は美月姫の髪を撫でながら、体を寄せてきた。


 「二人でいる時は、楽しもう。せっかく巡り会えたのだから」


 「優雅くん」


 「そんなこと絶対に起こり得ないし」


 優雅は断言するものの、交際を公にできないという現実が横たわる以上、美月姫の心の不安は消えない。


 とはいえ優雅がそばにいてくれるだけで、ひと時の安らぎに満たされるのも事実。
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