四百年の誓い
 ……。


 「また来週、会いに来るから」


 美月姫を腕に抱きながら、優雅は約束した。


 「来週? でももうお母様も退院したんだし、そう頻繁には」


 優雅の母は体調が回復したので、もう退院して自宅療養中。


 ほどなく店にも復帰の見通しだった。


 にもかかわらず毎週のように帰省すると、時間もお金もかかるし、周囲にも変な目で見られないか美月姫は心配だった。


 「今はまだ、母さんの体調も万全じゃなくて、心配なのもあるし……」


 「……」


 「何より美月姫に会わないと、不安でたまらない」


 想いを込めるかのように、腕の力を強めてキスをする。


 美月姫もそれは嬉しいのだけど……。


 「私も毎日だって会いたい。でも札幌と東京とじゃ、飛行機で移動するしかないし」


 優雅は立場上、株主優待券などを多数所持しているらしい。


 それと早朝割引や各社格安チケットを組み合わせて、羽田→新千歳間を移動しているようだが。


 いくら丸山家の一員とはいえ、交際を公にできない以上は、優雅は自分の力で東京と札幌を行き来するしかなく、時間的金銭的にも負担は大きい。
< 59 / 395 >

この作品をシェア

pagetop