四百年の誓い
 「美月姫は何も心配しなくていい」


 その一言の後。


 美月姫の不安を全て払拭させようとしたのか、再度強く抱いた。


 かけがえのない充実感。


 このような時が永遠に続くような錯覚に陥る。


 だが……。


 (私たちを取り巻く環境は、何も変わっていない)


 激しく抱かれていても、美月姫は時折我に返る。


 そして必ず怖くなる。


 (いつかこのような時は、終わりを告げる)


 優雅は東京に戻る。


 与党幹事長・丸山乱雪の後継者。


 元華族の婚約者。


 後の総理大臣との呼び声も。


 (その時、私は……?)


 あきらめて別れなければならない。


 一緒に未来を歩んでいくことは、残念ながら叶わぬ夢。


 「美月姫、俺だけを見て」


 美月姫が目の前の行為以外のことを思い描いているのを、優雅は敏感に察知する。


 余計なことを考えさせないように、唇を重ねる。
< 60 / 395 >

この作品をシェア

pagetop