四百年の誓い
 「ですよね。……先生も私と一緒に出家しません?」


 「えっ、何で俺が」


 「先生、あれから誰か好きな人できました?」


 「いや、そういうわけでは」


 「だったら私と一緒に、修道院に入りませんか? 私は女子修道院だから、住むところは別々ですが」


 「大村、お前はまだ若い。早急に決断を下す必要はない。大学生活をまず、楽しむんだ」


 「大学……、何だかいろいろ疲れますね」


 美月姫はまたため息をついた。


 大学は勉強をする場所だけど、年頃の男女が集まっているので、どうしても恋愛問題の宝庫でもある。


 だんだん美しさを増していく美月姫に想いを寄せる男子学生は、これまで何人か存在した。


 しかし美月姫は、圭介に想いを残しており、優雅への遠い記憶に操られている。


 身の回りの男子学生には、恋愛感情など抱けない。
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