四百年の誓い
 「好きです」


 告白も受けた。


 だが気持ちを打ち明けられただけで、「付き合って」と言われなかったため、美月姫は「ありがとう」とだけ答え、相手の男子学生の厚意に甘えていた。


 ノートを借りたり、車で送迎してもらったり。


 ……しかしそれを美月姫の肯定のサインと受け取った相手は、美月姫に彼女としての「役割」を要求してきた。


 「私、付き合ってるつもりはないし」


 その時になってはじめて美月姫は、否定のサインを示した。


 「私には、好きな人が」


 それが問題になった。


 相手の気持ちを知っていて、利用していたのだと周囲から非難された。


 男心をもてあそんだ、ひどい女。


 そんな扱いも受けた。


 (そんなつもりじゃなかったのに)


 まずはお友達として、仲良くやっていきたい。


 そんな美月姫の考えは、通用しなかったのだ。
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