ゾッとするホラー短編集
私は廃墟の病院の

長くて暗い廊下に、

再び立つと、

恐ろしくて

心臓がドキドキと

大きな音を立てた。






〈 大丈夫……。

私は、きっと大丈夫。




私には魔よけのネックレスが

ついているから。




私が今、

健二くんのことろに

行かなかったら、

私はきっと

後悔してしまうから…… 〉






いつもは友だちのように

振る舞っているけれども、

私は健二のことが好きだった。






私はことあるごとに、

健二のサッカーの練習を

見にいき、

ことあるごとに、

健二と話ができる機会を

探していた。






もしも私が、

健二を助けに

いかなかったならば、

いつかは健二に

伝えようと思っていた

自分の気持ちを、

これから先も、

永遠に伝えることが

できなくなってしまう。






私はそうなることが嫌で、

気味の悪い病院の廊下を

歩いていた。






もちろん私は、

あの幼い女の子の幽霊が怖い。






でも私は、

今日ここで、

健二に対する淡い気持ちを

捨てたくはなかった。
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