続★俺だけの家政婦さん
「顔上げたら?」

つっけんどんな言い方と女の人っぽくない太い声に違和感を

おぼえながらゆっくりと顔を上げると目の前には男の人が立っていた。

身長は175以上180センチ以下といった感じで

髪型は肩にかかるか、かからないかのすれすれで流れるような

緩いパーマのかったカリスマ美容師みたいなヘアースタイル。

そしてTシャツにジーンズとラフな格好だ。

もしかして野島先生の彼氏?それとも……担当編集の人かな?

「すみません。野島景先生はご在宅……ですよね?」

先生が執筆で忙しいから代わりにこの男性が対応しているのだろうと

思って笑顔を作るが目の前の男性は片方の眉を上げながら口元をゆがめる。

「野島は俺だけど?」

「は……はい?」

予想に反する返事に間抜けな声と共に私も肩眉をあげながら口元をゆがめる。

「っていうかさ~俺の顔見て何か思い出さない?」

腕組みしながら玄関の壁にもたれかかる姿は野島景の小説に

出てくるヒーローの様だけど

今はそれどころじゃない。

私の聞き間違いではなければ目の前にいる人が野島景本人で

私は以前この男性とどこかで会っているらしい。
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