続★俺だけの家政婦さん
こういうことは今回が初めてじゃない。

だから慣れっこであるが、本が好きな野末くんは本を読み出すと

周りの声も聞こえなくなることがあり、今みたいに誰かに呼ばれても

気がつかず、私が肩を叩いて現実に引き戻すパターンが多い。

だがカウンター越しの相手には野末くんの肩を叩く

この右手がどうも気に入らないらしく

そう思われる私の方も気分がいいもんじゃない。

野末くんとは単なるクラスメイトで同じ図書委員。

話しやすいし、見た目もいいし、人気者だけど

恋愛感情はない。

雲の上の存在と言うよりは自分が苦労しそうだと思うから。

野末くんみたいな人は友達以上にならない方が付き合っていく上では

一番いい位置だと私は思っている。

そう思いながら本の続きを読みはじめた。

10ページくらい読み終えた頃、野末くんが帰ってきた。

音も立てずに椅子に座ると何事もなかったように

栞にしていた定規をペン立てに戻す。

「ごめん、大丈夫だった?」

視線を本に向けながら野末くんが話しかける。

「10ページは読めた」

「ずりーな~」

本を読めなかった事に不満を漏らす当たり、今回もお断りしたのかな?

「でも凄いよね~今月で何人目?」

「憶えてねーよ」

私は憶えてる。

「4人だよ」

「ふ~~ん」

全く興味がないのが返事だけでわかる。
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