続★俺だけの家政婦さん
「生卵。目玉焼きとか親子丼でも白身のプルプルも嫌だから。
白身はちゃんと焼いてほしい」

知らなかった。って言うか白身のプルプル笑える。

私は笑いを堪えるようにさっと口に手をあて、それからメモ帳に

【卵のプルプル×】と記入。

「他は?」

「特にない」

「朝はパンがいいとかありますか?」

「特にない」

淡々とした会話(質問)が続いた。

「他に何かあれば今のうちにおっしゃってください」

野末くんは私の顔をじーっと見る。

「とりあえず、その敬語やめて。気持ち悪いから」

「き、気持ち悪い?」

何よ。私だって敬語なんて嫌だけど仕事だから敬語つかってんじゃんか!

と心の中で叫ぶ。

「だって俺たち同級生で、告った人、振った人じゃん」

あ~~~!ムカつく。

だけどこれ以上言い争っても作家様に勝てる気がしない私は

黙って頷いた。

「わかった。お客様の希望通り敬語なしね。他に用がなければ早速
仕事に取りかかりたいんだけど?」

野末くんが敬語なしっていったんだからと自分にいいきかせる。


野末くんはゆっくりとソファーから立ち上げると

書斎へと向かう。

その後ろ姿を見ながら小さくため息を漏らす。

野末くんの挑発にのらないことが当面の私の課題かも。

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