続★俺だけの家政婦さん
なんですか?この温度差は・・・

野末くんはしれっとした顔で私を見ている。

そしてもう一人、担当編集者さんはめっちゃ睨んでるんですけど。

やっぱり最初に読んだらまずいのか?

でもあれは『読んでいいよ』と野末くんが言ってくれたからで

何でもいいから先に読ませろ!

なんて言ったことないんだけどな~~

「先生?あの方は・・・」

担当さんってば野末くんに話しかける時はめっちゃ笑顔なんだよね~

切り替えの早さに感心すると共に早くこの場から逃げ出したい。

さっさと洗い物を済ませたら奥の風呂場へと続く扉を出て

クローゼットに一時避難したい。

そんなことを考えながら動きを早めていると

野末くんはちらっと私を見ながら「俺の家政婦」と言った。

なんで『俺の』っていうのかな~

確かに間違いじゃないけど他に言い方ってもんがあるでしょ~

『俺の』って、何だか野末くんの所有物みたいじゃん。

勘弁してよ。

だけど、今この状態で言葉を発するのは非常に危険な気がする。

だって、既に私は担当さんから「この女何様?」って顔で

めっちゃ睨まれてるんだもん。

だけど、野末くんと話す時は顔が変わる。

「え~~~!家政婦さんがいたなんて私聞いてませんよ~~。
それにサポートなら家政婦さんなんか頼まなくたって
私がしますよ」

担当さんは身を乗り出すようにアピールしている。

このまま彼女が野末くんの世話をすれば私の住込み家政婦生活も終われる?

だったら~そうして欲しいよ。

もちろん最初の頃よりは随分慣れたけど

やっぱり知っている者同士。特に私の場合は過去に行為を持っていた。

だから今はそうじゃなくても正直やりにくいんだよね。

担当さんならそれも仕事の内ですから~って言ってくれそうだしね~~

な~んて思っていたのだけれど、そう世の中甘くはなかった。
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