あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「松谷課長じゃなかったら……」

「あ?」

「松谷課長じゃなかったら、柴咲課長は私のこと誘ってませんでしたか…?」


すごく勇気のいることだったけど、思いきって聞いてみた。


柴咲課長は考えたのか、少しの間のあと答えてくれた。


「いや。いつかは誘っていたかもな」

「っ、本当ですか…?」

「あぁ。なんだろうな、また年数の話になるが、春野はとても落ち着いてて長年いるだけあって仕事も早いし、ミスも少ない。飯の食い方はガサツだがな」

「ちょっ!それはっ、」


そうだ…あの時は柴咲課長が大っ嫌いで、あの場から早くいなくなりたくて、大口でバクバク食べたんだった…。


「まぁ、そこも含めていいなと思った」

「………」

「お前、松谷のことは好きじゃなかったって言ってたな」

「…はい」

「前の男を忘れる為に利用したんだろ」

「そう、ですね…」


多分、好きにはなっていない。好きになってたら、きっと今だって悲しいだろうし涙だって出てくるはず。


でも、納得しちゃってるってことは、登俊を忘れる為だけに松谷課長に抱かれたんだと思う。


「まだ前の男のこと、好きなのか」

「好き…というか、登俊は初めての人だったから、デートした場所とか、話した内容とか、いちいち邪魔してくるんです…」


そのたびに、登俊を思い出す。もちろん初めての時のこととかも、思い出しちゃうし…。


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