あなたの愛に深く溺れてしまいたい
「なら、俺を利用しろ」

「えっ…?」

「俺がまとめて忘れさせてやるよ」

「………」


利用しろ、って…。なんだろう…利用とか、そういうのはしたくないって思ってしまったのは…。


「なんだ、俺じゃ不満かよ」

「…そうじゃなくて、」


柴咲課長は私の言葉を最後まで聞く前に、少し長く伸びた私の髪を掬うと、人差し指に巻きつけクルクルと弄ぶと耳元に唇を近付けて、こう囁いた。


「セックスから始まる恋だってあるだろ?」

「っ、」


まさか柴咲課長の口からそんな言葉が出てくるとは思わず、チラリと彼のほうを目だけ向けると、また口角を上げた彼に出会った。


そして、目が合ったまま柴咲課長の口が動く。


「お前、酒飲むと女度が増すな」

「な、なんですか。それは」

「キスしたくなる」

「…バカじゃないですか」


前田ちゃんが言ってたこと…。色気が出るって…。


女度が増すってのも、きっと同じ意味だよね…?


< 85 / 99 >

この作品をシェア

pagetop