「ただ、隣に居たいだけ。」

あんま寝れなかった……


携帯のアラーム曲を止めて
ベッドから立ち上がり、1階へと向かう。

慌てている様子の、お母さんが見える。

「おはようございます。」

〝どうしたんですか?〟と声をかけると、俺の姿を見た瞬間、はっ、とする。

「翔大くんのぶんの、お弁当がなくて…!」

〝今から作る時間は、ないし…〟と申し訳なさそうに言ってくる。

「昨日、未空に明日は弁当いいよって言ったんですよー、パンの気分で。」

たった今、思い出した! かのように笑いながら言い、足早に支度を済ませる。


「今日、早く行かないといけないんで!」

お母さんに見送られ、急いで行く…フリ。


先に学校に行くのも、弁当がないのも、想定内の展開だった。


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