「ただ、隣に居たいだけ。」

会わないようにしてるのが
あからさまに伝わってきた。

まぁ、あんなことしたんだから
仕方ないんだけど___


クラスの扉の前で、いつも通り楽しそうに話をする〝二人〟。

未空は、俺の姿に気付いて、ぱっ、と目をそらし、植田の腕を掴んで教室に入っていく。


〝意識してくれてるんだ〟
一瞬だけ喜んだけど、二人の姿を思い返して泣きそうになってしまった。


〝昔の二人〟___

歩くときは、服の端を掴んで後ろをついてきてたっけ___

兄としてだったら、あんな風に未空に触れてもらえたのかな___


何事もなかったかのように
〝大人〟のフリして授業を進める。

切ない痛みを隠して___……



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