「ただ、隣に居たいだけ。」

柔らかい感触が唇を包み込み
それが〝キス〟だと分かるのに時間は、かからなかった。


「……な、なにしてんだよっ!」
嬉しいのに、突き飛ばしてしまった。


「カレシ居るくせに……」
なんて、そんなこと言う資格ないだろ。。

付き合ってるの知ってて〝キス〟したことあるんだから_____しかも、勝手に。

〝都合が悪い〟というように目線をそらす。


「……キスしたくせに。」
ぼそっと怒り口調で言われたのが刺さる。

「確かに、あのときは嫌だった。でも、それから意識しちゃって、兄なんて思えなくなって、その……」


えっ……………?


続きが気になるくらいの勢いで、真っ赤な表情で俯く未空を見つめ続ける。


「翔ちゃんが他の人と一緒に居るのは見たくないなんて思っちゃって。」


〝これって恋の〝好き〟でしょ?〟と確信したように微笑む様子は、可愛くて…


「植田くんとは、別れたから。」
ぎゅっと愛しそうに抱き締めた俺に、安心させるかのように耳元で囁く。


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