「ただ、隣に居たいだけ。」
【兄妹のように】

「おはよー、翔ちゃん」

〝あの日〟を境に家では〝翔ちゃん〟と呼んでくれるようになった。

朝ごはんを食べて、弁当を持って時間をずらして別々に学校へと向かう。

いつも通りの日常。

授業中、早弁をする生徒に「せめて休憩中にしてくれ。」と頼むように注意した。

羨ましそうな俺を見透かしたようにクラスの皆が笑った。


昼休みが待ち遠しいのは先生も一緒。

いつも通り屋上で、「いただきます。」と手を合わせ弁当を広げた。

_______?

〝1枚のメモ〟がゴムに挟まっていた。

いつもは、こんなの無いのに。

『お母さんみたいに上手くは出来ないけど、良かったら食べてね。』

名前は書いてなかったけど、すぐに〝未空〟からだと分かった。

もったいなくて食べられないぐらいの気持ちだったけど空腹には勝てず (笑)

メモは、財布に折り畳んで入れた。

疲れなんて感じない、ていうぐらいの勢いで仕事を終わらせ、家に帰ってきた。

これぐらいは、しないと。という気持ちで慣れた手つきで袖を捲り、洗い物をする。


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