ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。
〝即日発送〟がウリの家具店で買い物をしたから、購入したスチールラックやローテーブル、ソファなどの家具たちは次の日の午前中に我が家へやってきた。
昨日はほとんど何もない部屋で一人丸まって眠ったけれど、これから少しずつ私らしい部屋になっていく。自分の好きなもので埋め尽くすのを想像すると、これからが楽しみで仕方なかった。
私はワクワクした気持ちでとりあえずスチールラックの梱包を剥き、早速組み立て……ようとして。
なぜだかまったくうまくいかずに私の半径1メートルは、何に使うのかイマイチわからない部品でとっちらかった。
……絶望的にセンスがない!
なんとなくできるような気がしていたことが実はものすごく苦手だと気付いて、収納棚になりそこなった鉄の塊を前に頭を抱えてきたとき。呼び鈴の音もなくガチャリと玄関のドアが開いた。春海さんだ。こっちを窺うように覗いている顔と見つめあった。
「……」
「……」
「……困ってるね!」
パァッと晴れやかな笑顔で嬉しそうに指摘されて、私はうんざりとした顔で「いえ、大丈夫です」と言ったけれど。
聞き入れてもらえるわけがない。