ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。
「……タバコ、やめるんですか?」
「うん」
「どうして?」
「わかることは訊いちゃダメだよ」
彼は柔らかく微笑んでそう言ったかと思うと、ごく自然に私の頬に触れて顔を近づけた。――あ、だめだ。キスだ。そう思って。さっと手のひらで防ごうとしたけれど、手のひらに唇の感触はない。……気づけば、頬に頬を摺り寄せられていた。
「タバコ臭いとキスも拒まれちゃうし」
「……タバコの問題じゃありません」
「ひなちゃん、良い匂いする」
すぅっ、と耳の横で呼吸される感覚にぞくっとして私は缶チューハイを落としてしまった。
やめてください!と慌てて怒っても、まぁまぁ、と彼はまた新しいチューハイを開けてくれて。落としてしまった分も拾ってくれて。……なんというかこれは。
…………なんだろう?