ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。
新田さんに約束をドタキャンされた日。マンション近くの公園のベンチで春海さんと二人、お酒を飲みながらたくさんのことを話した。
あらためて、私に彼氏がいるということ。
春海さんは略奪アリだと思っているということ。(知りたくなかった)
私は建材メーカーに勤めていて、そこには鍋島さんという尊敬すべき先輩がいるということ。
春海さんは結構なヘビースモーカーだったということ。(あくまで今日までの話らしい)
私の一番尊敬する人は母であるということ。
春海さんの最近の悩みは睡眠不足であるということ。(確かにいつもちょっと眠そうだ)
今日、折り畳み傘は活躍しなかったこと。春海さんの天気予報は当たらないということ。
いろんな話をして、お酒の缶もいくつか開けて。買ってきた分全部なくなっちゃったから帰ろうか、と春海さんが言ってこの場は散会となった。桜はもう散ってしまったからお花見というわけではない。生暖かな風の中で、どうでもいいことを中心に語った会だった。
マンションまで歩く間、少しだけ足元がふらつくのを春海さんがここぞとばかりに支えようとするから「いいです」「大丈夫です」と頑なにその手を拒み続けて自分の部屋に戻った。