ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。

「――はい、瀬尾です」

『新田です。すみません朝方に。今お電話大丈夫でしたか?』



低く落ち着いたその声のトーンに、ほっとすると同時に動悸がした。一瞬、父がなんとか私と会話するために新田さんのスマホを借りたのかと思ったのだ。

新田さん本人だったことに安心しながら、珍しい彼からの電話に緊張する。



「大丈夫です。どうかしましたか? ……また父が呼んでるっていう伝言?」

『……いえ』

「ん……?」



なんだか妙に歯切れが悪い。



「……新田さん?」

『日奈子さん、今日会いませんか。仕事終わりに』

「え」

『予定があるなら、また今度でいいですけど』

「いや、ないですっ! 全然! 暇です!」

『そうですか』



彼が少し笑ったような気がしてそれでハッと気付く。全力で暇アピールをしてしまった……。喜んでいることがバレバレだ。

一体どうしたんだろう?

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