ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。


『食事しましょうか、一緒に』

「はいっ……」

『日奈子さんが昨日予約していてくれたお店って、いつも満席ですか?』

「え? あ、いえ、そんな。広いしたぶん大丈夫です……。って、え……? 予約、って」

『……やっぱり用意してくれてたんだ?』

「っ! 今のは卑怯です!」



くくっ、と電話の向こうで笑いを押し殺せていない声がして悔しさが募る。……はめられた!カァッと熱くなった顔を見られずに済むから、電話でよかったと思った。




『じゃあ……また夜に。いつものところで』

「……はい」



返事をして、彼が、どっちが電話を先に切るかタイミングを計るのをじっと聞いていた。ほんの少しの息遣いを感じ取って、それで、もどかしくてムズ痒いような不思議な気持ちになる。あぁなんだか。喜んでいいのかな?



どういう風の吹き回しなの、新田さん。

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