ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。
馬鹿みたいだと思うと一気に力が抜けて、それでぽろっと口から愚痴がこぼれ出してきた。
「もう……最悪です。シャワー浴びてさっさと眠ろうとしてたんですよ」
「うん」
「それなのに、なんでかシャワーはお湯が出ないし、春海さん来ちゃうし」
「うん、ごめんね。……お湯出ないの?」
「……」
返事をするのも億劫になってきた私は、たぶん不機嫌そうな顔をしてこくっと頷いた。
「ちゃんと顔見れたし、給湯器だけ確認したら帰るから。浴室行ってもいい?」
「……嫌って言っても行くくせに」
「ははっ、ひなちゃんいじけると敬語じゃなくなるね。かわいい」
「……」
もうこの人、何言っても駄目だ。諦めて壁側に寄って、廊下の真ん中を空ける。春海さんは「お邪魔します」と言って玄関でサンダルを脱ぎ、私の部屋にあがった。まっすぐ浴室に向かう。
まぁ、管理人さんだし。
部屋の設備を見てもらうのはそんなにおかしなことじゃない。ただ今じゃなくてよかったのにな……と思うだけだ。