ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。



「……」



あっさりと言い当てられて、抵抗していた体の動きが止まる。自分じゃない人の口が言葉にしたその事実は、今の私の耳にはとても重たく響いた。“慰めていい?”と言う春海さんの囁きに、ふるふると首を横に振る。



「甘えてみればいいのに」

「平気ですからっ……。もう構うの、やめてください」

「……そうやってすぐ強がるから、男に〝この子は大丈夫だ〟って誤解させるんだよ」

「っ」

「もう無理だって、しんどい嫌だつらいって泣き喚いていいよ。全部俺が飲み込んであげる」



シャワーを止めた浴室の中はとても静かで、彼が言葉を発するたびにそれが小さく反響する。私の耳の中で何重にも響く。密着している体はお互い服が濡れているから、べちゃっと張り付いて不快なはずなのに。……不快だろうか? 私は今、どう思ってる?



「……なんで、春海さんにっ……」

「ひなちゃん本当は、俺のこと嫌いじゃないよね」

「……」

「一番じゃあないかもしれないけど、どちらかと言うと好きでしょ」
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