ベタベタに甘やかされるから何事かと思ったら、罠でした。
ぐちゅぐちゅと音をたてて絡まる舌。耳を塞がれているせいで頭の中で大きく響いて、私の脚はガクガクと震えだした。
「はぁ、ん……んンっ」
顎に指をかけられて上を向かされる。上から抑え込むように唇を奪う春海さんは、開いた口伝いに私の口の中へ唾液を流し込む。……それを甘く感じてしまうのは。
認めたくない気持ちでいっぱいで、だけど彼の服を掴む私の手は“もっと”とねだっているようにしか見えないんだろう。
「あ、は……春海さん……」
「……体、もっと触るよ」
「あっ……」
彼は“かわいいなぁもう”と囁くと、今まで経験したことのないくらい甘い触れ方をした。私の身体は、大きな手に溶かされていった。
しばらく彼の好きなようにされた末に、くたりと腕の中に倒れこむ。疼きから解放された体はすっかり力が抜けてしまって、春海さんの体にしなだれかかることを嫌がる余力はなかった。
体を支えられ、ゆっくりとその場に二人、座りこむ。
「はぁっ……えっちなことしちゃったね、ひなちゃん」
どうしようねこれから、と言って笑う春海さんを前に、私は“やられた”とひどく悔しい気持ちになった。――そうしてこの日、瀬尾日奈子は。軽薄に管理人さんに落ちてしまった。体から落とされてしまった。
これが罠とも知らないで。
引き返せなくなるとも、知らないで。