きみに、好きと言える日まで。
家へつくと、ちょうど親父が仕事へ出掛ける支度をしていた。
親父は大学病院の外科医だ。
優飛は一目散に親父の元へ駆け寄ると、まひに作ってもらった首飾りと冠を見せに行った。
「これから出勤?」
「ああ、今夜は当直だからたのむな」
「分かった」
母さんが親父と再婚することが決まったとき、周りからは色々言われた。
父さんの死を看取った医者と……って。
「もう少し勉強を頑張った方がいいでしょうって言われちゃったわ」
母さんが、面談の内容を親父に報告する。
「そうか。で……」
「ええ。もし、今年のインターハイに出られれば……」
「母さんっ!」
何かを問いかけた親父へ答えた母さん。
俺は途中で口を挟んだ。
……ふたりが何を言おうとしているのか、分かっているから。
「耀太」