きみに、好きと言える日まで。
親父が真剣な目を注ぐ。
「親父、俺……」
今年のインハイに出れば、陸上トップクラスの大学からの推薦も夢じゃない。
今の記録だとインハイには行けるだろうと、顧問からも太鼓判を押されていた。
けど、俺のハイジャンは記録を残すことでもなくて。
何かをさし置いてまで、がむしゃらに向かうものでもないから。
予選は気楽な気持ちで出場した。
県大会には通過したが、地区大会に出るかはまだ迷っている。
「分かってる。自分の道だ。耀太が決めろ」
挫折した時も、親父だけはいつも俺の味方だった。
親父は俺の一番の理解者だ。
親父のいつもと変わらない態度に、俺の拠り所はちゃんとそこにあると安心して顔を和らげた。
「パパぁ?抱っこーー」
「よーし」
出掛ける前のスキンシップ。
待ちきれない優飛が親父にせがむ。