きみに、好きと言える日まで。


親父は俺に無言で頷くと、表情を変えて優飛を抱きあげた。



「そうだ。お兄ちゃんおむねがくるしいんだって。みてあげて?」



優飛は思い出したように言う。



「ゆうっ……!?」

「どうした耀太。どこか具合でも悪いのか?」

「なっ、なんでもねーよ!」

「お兄ちゃん、かおあかくておむねもくるしいっていってたの。お姉ちゃんもこれつくってるとき、かおあかかったなあ」



……っ!



まだ3歳。

悪気も冷やかしもない。


兄貴を本気で心配する、素直で可愛い妹。


かわいいっちゃ可愛い。



けどよ……。


素直すぎるのも、時には罪だぜ……。


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