唯一の愛をキミに【完】
「あのっ!わたしからも…。受け取ってくれる?」


唯が鞄の中から取り出したのは長方形の箱で、


「ありがとう。開けてもいい?」


そう尋ねて唯が頷く姿を見てからゆっくりと包装紙をはがしていく。


「あっ、時計だ」


「どう、かな?」


「うん。俺の好きなデザインだ。かっこいい。ありがとう、唯」


唯にお礼を言って腕時計をつけて見せると唯は嬉しそうにはにかんで笑った。


お店を出て駅前通りを唯とふたりでのんびりと歩く。


唯と何気ない話しをしているけれど告白のタイミングを探しているからあまり会話に集中できないのも事実で。


いざ、告白しようと思うと緊張してしまう。


一年前、唯はこんな緊張をしながら俺に告白をしてきたのか。


それを俺は、由香里の身代わりとして唯を側に置いた。


このとき、重要なことを思い知らされた。


俺は一年間、誰よりも唯の側にいたけれど、


誰よりも唯を傷付けてきたのはこの俺なんだ。
< 134 / 150 >

この作品をシェア

pagetop