唯一の愛をキミに【完】
女は酒の力が入っているからか、それが男を落とすためのテクなのか、やたらといちいち潤んだ目をしてボディータッチをしてくる。


そんな姿を見てふと、唯ちゃんだったらまずそんなことしないだろうな、と思う。


合コンなんか行かないだろうけど、行ったらきっとカチコチに固まってしまいそうだ。


そんな彼女の姿を想像すると面白くて自然と笑みが溢れた。


隣の女は自分の話に俺が笑ったと勘違いしてまた機嫌良く俺に話かけてきたけれど。


「2次会行くやつ、手ェ挙げろー!」


居酒屋を出て幹事の男が2次会のカラオケに行くメンバーの集計を取っていて、ほとんどの奴が手を挙げていた。


「哲、おまえは行くのか?」


近くにいた大志が聞いてきたけれど、2次会まで行くのは面倒で。


「いや、俺は帰るよ」


「えっ!?哲くん、帰っちゃうの!?じゃあアタシも帰ろうかなぁ…」


何故か俺が帰るとするとさっき隣に座っていた女が腕を絡めて俺を見上げてきた。
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