花盗人も罪になる
大輔は何から話せば良いのか考えながら、しばらく黙ってコーヒーを飲んだ。

ぎこちなく流れる沈黙の中で、香織も少し落ち着かない様子でコーヒーを飲んだ。

「こうして会うの……ホントに久しぶりだね」

沈黙を破ったのは香織だった。

「ずっと連絡もないし、こっちから電話しても繋がらないし……もう会えないかと思った」

「うん……」

大輔はコーヒーカップをテーブルに置いて、ためらいがちに香織の方を向いた。

「電話もメールもできないから直接会いに来たけどさ……ホントは香織に会うの、すげぇ怖かった」

「どうして?」

「2か月以上もなんの連絡もできなくて、香織心配してるかなとか怒ってるかなとか……もしかしたらもう俺に見切りつけて新しい男がいるかもとか……」

いつになく自信なさげに話す大輔がおかしくて、香織は少し笑みをこぼした。

「ホントに心配したよ……。全然連絡取れなくて大輔がどこで何してるのかもわからないし……。私のこと、もう嫌いになったのかなとか、他に誰か好きな人でもできたのかなって」

「二人して同じようなこと考えてたんだな」

大輔は少し笑って、テーブルの上に置かれた香織の手に自分の手を重ねた。

「香織は今も……俺のこと、好き?」

「うん……大好き。大輔は……?」

少し照れくさそうに香織が答えると、大輔は握る手に少し力をこめた。

「俺も香織が好きだよ。会えなかった間、ずっと香織のことばっかり考えてた。毎日毎日、香織に会いたいって」

大輔の気持ちを聞いて、香織は嬉しそうに微笑みながらうなずいた。

「私もすごく会いたかった」

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