花盗人も罪になる
「盛大なのろけですね」

「僕には妻しかいませんからね……。僕たちにはこの先もおそらく子供はできないだろうし、夫婦二人きりの可能性が高いんです」

「……そうなんですか?」

「ええ。つらいこともありましたし、まったく子供が欲しくないと言えば嘘になるけど……それでも僕は、妻がいてくれたらそれ以上の幸せはないと思ってますよ」

大輔は、なんの迷いもなくそう言い切る逸樹が羨ましいと素直に思った。

誰よりも香織を大切に想っていると伝えれば、この先の人生を一緒に生きていきたいと、香織は思ってくれるだろうか?

「香織も……そんなふうに思ってくれるでしょうか」

「大輔くんが考えているより、彼女は大輔くんを大切に想っていると僕は思います。この機会に、二人で今後のことをしっかり話し合ってみたらどうですか?」

「そうですね……。そうしてみます」


その後香織と大輔は、しばらく希望とりぃと一緒に遊んで、お昼過ぎに逸樹たちと公園で別れた。

香織の家にりぃを連れて戻ってから近所のファミレスで昼食を済ませた後、香織の部屋で二人で話すことにした。

香織はコーヒーをテーブルの上に置いて、大輔の隣に座った。

久しぶりに二人きりになる照れくささも手伝って、二人の間にほんの少しよそよそしく開いた距離がもどかしい。


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