花盗人も罪になる
付き合って半年が経った頃に大輔の急な転勤が決まり、遠距離恋愛になった。

離れてから1年近く経つけれど、こんなことは今までなかったのに。

会いたいと思った時にすぐに会えない分だけ、香織の胸に不安がよぎる。

大輔はどうして何も言ってくれないのだろう?



結局、何度となくメールを送っても大輔からの返信はないまま週末を迎えた。

思いきって電話をしてみても、電源が入っていないと機械の音声が流れた。

香織はスマホを手に握ったまま、ゴロリとベッドに横たわる。

もしかしたら、このまま自然消滅になってしまうかも知れない。

嫌いになったのなら、せめてその理由を教えて欲しい。

このままでは身動きがとれない。

「香織、天気もいいしゴロゴロしてるなら、りぃの散歩に行ってきてよ」

「りぃの散歩かぁ……。久しぶりに行ってみるかな……」

母親に促され、気分転換に家で飼っているトイプードルの『りぃ』の散歩に行くことにした。



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