花盗人も罪になる
香織がりぃを連れて足を運んだ近所の緑地公園は、小さな子供を連れた家族連れで賑わっていた。

楽しそうな家族連れを眺めながら、遊歩道を歩く。

まだまだ結婚を焦る気はないけれど、いつかはあんなふうに好きな人と結婚して、子供を産んで幸せに暮らしたい。

その相手は大輔かもと、おぼろげに思い描いていた。

だけど今は、結婚どころか大輔がどこで何をしているのかさえわからない。

メールの返事をくれないことも、電話が繋がらないことも、原因がさっぱりわからない。


ため息をつきながら広場に足を踏み入れた時、香織の足元にピンク色のボールがコロコロと転がってきた。

香織はそれを拾い上げようと身を屈めた。

「すみません、ありがとうございます」

男性の声に顔を上げると、そこにはいつものスーツ姿ではないカジュアルな服装の逸樹の姿があった。

「あっ……村岡主任!」

「あれ?近田さんじゃないですか」

香織は逸樹にボールを手渡した。

「お近くですか?」

「ええ、すぐそこなんです」



< 34 / 181 >

この作品をシェア

pagetop