花盗人も罪になる
大輔が遠くへ転勤になると知った時、どうすれば良いのかと香織は悩んだ。
しかし付き合ってまだ半年ほどしか経っていなかったからなのか、「ついてきて欲しい」とか「結婚しよう」という言葉は大輔の口からは聞けなかった。
あの時もし大輔にそう言われていたら、なんの迷いもなく結婚してついて行ったのかもしれない。
香織は間違いなく、大輔と離れたくないと思っていたのだから。
だけど今、結婚しようと言われたらどうするのだろう?
やっとそれなりの仕事を任されるようにもなったのに、会社を辞めて大輔以外の知り合いや身内のいない土地へ移り住んでも大丈夫だろうか?
理想をいえば、大輔がこちらの部署に戻ってきて、結婚しても子供ができても今の会社に勤めたい。
そんなことを考えている自分に、香織は思わず苦笑いを浮かべた。
今の自分が置かれている状況は、結婚どころか大輔がどこで何をしているのかもわからないじゃないか。
メールでもいいから、せめて大輔が元気でいることだけでも知らせて欲しい。
欲をいえば、遠距離になって1年近く経った今でも、香織への気持ちは変わっていないと言ってくれたら……。
そうすれば、不安に胸を押し潰されそうになることはないのだろう。
しかし付き合ってまだ半年ほどしか経っていなかったからなのか、「ついてきて欲しい」とか「結婚しよう」という言葉は大輔の口からは聞けなかった。
あの時もし大輔にそう言われていたら、なんの迷いもなく結婚してついて行ったのかもしれない。
香織は間違いなく、大輔と離れたくないと思っていたのだから。
だけど今、結婚しようと言われたらどうするのだろう?
やっとそれなりの仕事を任されるようにもなったのに、会社を辞めて大輔以外の知り合いや身内のいない土地へ移り住んでも大丈夫だろうか?
理想をいえば、大輔がこちらの部署に戻ってきて、結婚しても子供ができても今の会社に勤めたい。
そんなことを考えている自分に、香織は思わず苦笑いを浮かべた。
今の自分が置かれている状況は、結婚どころか大輔がどこで何をしているのかもわからないじゃないか。
メールでもいいから、せめて大輔が元気でいることだけでも知らせて欲しい。
欲をいえば、遠距離になって1年近く経った今でも、香織への気持ちは変わっていないと言ってくれたら……。
そうすれば、不安に胸を押し潰されそうになることはないのだろう。