俺様上司と身代わり恋愛!?


「高橋さん……もしかして、志田さんの事……」

半信半疑よりも確信に近い心境の中そうもらすと、ホッとして笑みをこぼしていた高橋さんは、戸惑いを浮かべ顔を赤くする。

その表情に、確信100%に変わった。

「そっか……高橋さん、志田さんが好きなんだ」と無意識に呟いた私に、高橋さんがバッと顔を上げ必死な様子で言う。

「あ、あのっ、私、付き合いたいだとかそんな事思ってるわけじゃなくて……違うんです! とにかく、あの……違いますっ! 私そんな高望みしてないですっ」

あまりの慌てように、「た、高橋さん、落ち着いて」と伸ばした手を、高橋さんが両手でグッと握る。
急に手を握られて驚いたけど……もっと驚いたのは、その手が、震えていたからだった。

真っ赤になった顔で、高橋さんが震える声を繋ぐ。

「その、いずれそうなれたらいいなとかは……少しだけ思ってたりしますけど、でも、まだ全然そういうんじゃないんですっ。
それに私なんかが志田さんをなんて、高望みだって事だって分かってるし……っ! でもっ、その……」

「……うん」
「それでも、好きで……」

絞り出すようにして言う高橋さんを、どこか遠い気持ちで眺めながら「うん」と相槌を打った。

震える手から、途切れながらも必死に紡ぐ声から、高橋さんの気持ちが流れこんでくるみたいで、胸が鈍く痛んだ。

この痛みは……自分のモノなのか。それとも、高橋さんの気持ちの大きさを思ってのモノなのか。

キュッと握られたような息苦しさを感じる胸に、少しだけ呼吸がテンポを上げていた。


< 120 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop