俺様上司と身代わり恋愛!?
『……そんなもん、見ればわかる』
『すみません……でも、言わないでいるのが耐えられなくなって――』
『――もう黙れ』
言葉ごと塞ぐように重なった唇。
入り込んできた舌が丁寧に咥内を撫でるから……そのうちに、意識が溶けだした。
そのまま、どんな部屋だとか、そもそもひとり暮らしなのかとか、なにひとつ確認できずに課長のベッドの上で、体温を重ねた。
それが、金曜日のことだ。
課長の隣に立ちながら、ドキドキいう胸に黙っていると、明るい音を立ててエレベーターが着き、扉が開く。
課長に続いて乗り込むと、扉がしまる。
シン……とした、ふたりきりのエレベーター内。
雰囲気が重たくて、重力に潰されそうだ……と考え、あれ?と思った。
なんか……静かすぎる……?
そもそも、動き出してすらいない気がする。
課長に視線を移すと、課長の目は操作盤の横に貼ってある〝お知らせ〟と書かれた紙を見ていた。
その〝お知らせ〟を見て……あー、と思った。
二週間くらい前に、そういえばこの紙見て色々考えたっけと思い出してももう遅い。
八時から点検って書いてあるのを見て、そんな早く来ないし、と思った。
だから……気を付けていなかった。
「……課長」
完全に停止している姿に呼びかけると、課長は〝お知らせ〟を見たまま言う。
「これ、中に貼っても意味ねぇだろって、見るたび思ってたんだよな……。貼ったやつ、バカじゃねぇのって」
「……同感です」
「でも今は自分にバカじゃねぇのって思ってる」
「同感です」
ふたりして自嘲笑いをこぼしたあと、課長が非常用ボタンを押す。
通話口にはすぐにエレベーターの管理会社の人が出て……静かな口調で怒られてしまった。
『閉じ込められたって……ええー……半月もかけて注意してたでしょうに。見てなかったんですか? あんな目立つ場所に貼っておいたのに』
「……すみません」