俺様上司と身代わり恋愛!?
「悩んでますよ。典型的なA型なので基本うじうじじめじめした女ですから」
「へぇ。カビそうだな」
「カビる前に泣きそうです」
「今か? もう五階につくし、ここで泣き出されたら確実に俺が疑われるから我慢しろ」
情も何もない言葉をかけられて、涙の代わりに、はぁ……とため息を落としたところでエレベーターの扉が開いた。
五階にある部署は、奥から、預金課と融資課の事務、そして事務管理課。それに給湯室。
それぞれの課は十人弱で構成されているため、このフロアには二十五人ほどの社員がいる計算になる。
課同士の関わりは仕事上少しくらいはあるものの、全員の名前を知っているわけではないし、関係は案外希薄だと思う。
課長は立場上、それなりに知ってはいるだろうけど、一般社員の私は、預金課以外の社員は数人程度しか知らない状態だ。
ちなみに、お客様が入れるスペースは営業スペースである二階までで、それより上は、社員だけのフロアとなっている。
そこで一日中、パソコンや電話、書類相手の仕事をこなすのが課長や私の仕事だ。
すれ違う、名前の知らない社員と挨拶だけは交わし、預金課まで行くと、既に新入社員のふたりの姿があった。
「おはようございます」と笑顔を向けてくるふたりに同じように笑顔を作るも……今野さんの視線は課長にしか向けられていなくて。
後輩からの地味な攻撃に心が折れそうになったところで、一日の仕事がスタートしたのだった。