俺様上司と身代わり恋愛!?
「別に不憫な話したつもりもないですけど。ただ、誰かと歩いてみたかったってだけで……」
「あー、分かった分かった楽しい楽しいすげー癒される」
苦笑いを浮かべて一呼吸で言い切った課長にムッとしながらも、この公園だからか、やっぱり小さな怒りは長続きはせずに消えていく。
さわさわと葉っぱが重なって立つ音が気持ちいい。
人はそこまで多くなく、ゆっくりとしたペースで歩いても邪魔になるような事はなさそうだった。
「しっかしおまえ、本当にろくな男と付き合ってこなかったんだな」
呆れたような笑みで言う課長の向こうで、葉っぱの隙間から太陽の光がチラチラとしていた。
「否定はしませんけど。課長はきちんと付き合った人っているんですか?」
「俺だって真剣に付き合った相手くらいいる事はいる……けど、今思うとそう真剣でもなかったのかもしれねーなぁ」
「なんでですか?」
「結局、仕事とか自分より大事だとか、そういう風に思った事はなかったから。
茅野みたいに、相手に尽くすだとか自分が我慢するだとか、そんな事は一度もしなかった気がする」
自嘲なのか。
乾いた笑みを浮かべる課長の横顔を眺めているとふと目が合った。
そして、ニッと意地の悪い笑みが向けられる。
「まぁ、だからおまえみたいな目に遭わずに済んだんだろうけど」
「……度の問題ですよ。みんな多分もっとうまい事やってちゃんと幸せ感じてるんでしょうし」
「自分で言うな」
「でも、今度は大丈夫です。だって志田さんは課長のお墨付きですし」