俺様上司と身代わり恋愛!?
出逢ったばかりの人とそういう事をっていうのも驚くけど、もっと驚くのは、そういう人が少なくはなさそうだってとこにだった。
だって課長は多分、そういうのを今まで何度も繰り返してきてるんだろうし……。
どれくらいの頻度でとか聞くのはさすがに躊躇われてじっと見ていると、課長は私の心の声でも聞こえたかのように顔をしかめる。
「言っておくけど、おまえが考えてるみたいにしょっちゅうしてるわけじゃないからな。
酒飲んでて言い寄られた時、なんとなく気が向いたらってくらいだし。
それにここ一年くらいは仕事が忙しくて遊んでる場合でもなかったし」
そう言った課長が「でも考えてみれば、嘘でも恋人がいるって事にしておけば、見合いの場に行かされる事もなかったし、そうしとけばよかった」と小さなため息を落とす。
「そうですよね……。そうすれば休日もつぶれたりしないで済むわけですし……」
「そんな簡単な嘘つくってとこまで頭回んなかったとか……俺、仕事で疲れてんのかな」
力の抜けた笑みを浮かべる課長を見て、確かにそうだよなぁと思う。
課長がそのとき嘘をついていれば、こんな風に日曜日に横浜まで来ることもなかったし。
きっと家でダラダラもできたし……もしかしたら、志田さんとのデートの下見とかしちゃってたかもしれない。
だけど。
「でも私は、課長が上手い嘘思いつかなくてよかったです。おかげでこうして課長と話せるようになったし、嬉しいです」
こんな事にでもならなければきっと、仕事以外で話をする機会なんてなかった。
女好き発言とかは正直驚いたけど、でも、それ以上にこうして話しているのは楽しいし。
何より、仕事面もだけど恋愛面も話を聞いてくれるのは嬉しい。
だからそれを素直に伝えて笑うと、課長は複雑そうに眉をわずかに寄せた。